雲州先生の
不妊よもやま話

ホルモン刺激によって生じる「空胞」や「未熟卵」について

体外受精や顕微授精を漢方にてサポートしている際、採卵周期のホルモン刺激がうまくいかず「空胞」や「未熟卵」となり、受精がキャンセルになってしまうケースを経験することがある。

今までは、「なぜこのような結果になってしまうのか?」理解することができなかったのだが、10年近くに及ぶ不妊治療の漢方サポートによって、これらのメカニズムが一定理解できるようになった。

西洋医学的にはどのように考えられているのか、僕は西洋医学者ではないのでわからないが、実際の臨床から想像するに・・・

 

卵が成長していくにあたっては、「卵胞の成長リズム」と「卵子の成長リズム」という2種類のリズムが存在する。

通常、卵胞の中に卵子が存在し、卵胞が成長リズムと卵子の成長リズムがある程度、一致することで質の良い卵子となる。
しかし、ホルモン刺激を行い、複数の卵子を採取しようとした場合、ホルモン剤の刺激がこれらのリズムを狂わせることにより、卵胞の成長リズムが早くなって、卵子の成長リズムが追い付かず、結果的に「空胞」や「未熟卵」となる。

東洋医学では、卵胞や卵子の成長には「腎」が関わっていると考えられており、この腎は「水を主る」機能を有している。そしてホルモン剤は、この腎の機能を活性化することで、卵の成長を促す作用を有していると考えてよい。

通常、卵胞は低温期の14日の間に成長し、20~22mmの大きさになった辺りで排卵する。この大きさに成長していく秘密は、卵胞の中にある水分量が増え、風船のように膨らむことによる。

ホルモン剤の刺激量が自分の身体と合わない場合、ホルモン刺激によって腎の水を主る機能が活性化され、卵胞が水膨ぶくれを起こしてしまって急激に成長していく。しかし一方で卵子はじっくりと時間をかけて成長するリズムのままのため、水ぶくれを起こした卵胞との間で成長スピードが異なるため、結果的に「空胞」や「未熟卵」となってしまう。

 

このように考えると、体外受精や顕微授精で「空胞」や「未熟卵」が取れることが多い場合には、まず卵巣がホルモン刺激で疲労してしまい、わずかなホルモン刺激でも、卵胞と卵子の成長リズムが狂う状態になっている可能性、また刺激が強すぎて直接リズムが狂わされる可能性を考えることができる。

 

このとき、東洋医学的なフォローの仕方は、いかにして卵巣疲労を軽減させるか、それと刺激が強すぎる場合には、採卵周期における刺激法を変更するアドバイスとなる。実際に、これらの症例について、どちらによって「空胞」や「未熟卵」になっているかを考え、適切に処置することで質の良い卵子が採れるようになることが多い。

 

そしてこのときに考えなければならないことは、「わずかなホルモン刺激でリズムが狂う」ということであり、このような場合には、ホルモン様物質が含まれているサプリメントや補腎薬を使うと、さらにリズムが狂うことがあるということである。

当店では、これらのことを考えながら、どのような漢方薬やサプリメントを使うべきかを常に意識しているのである。

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