雲州先生の
不妊よもやま話

男性の精子の質について

昨今、男性不妊が注目されるようになっているが、現実問題として日本の男性の精子にはある重大な問題が起こっていると言われている。

それが精子の質の低下である。
精子の質の低下とは・・・
① 量が少ない
② 真っすぐ泳げない
③ 遺伝子が傷ついている
という3つに分類することができ、昔に比べて男性が持っている精子の力がどんどん衰えていることがわかっている。
この精子の質の低下は、先進国に共通する現代型不妊症の特徴の1つとなっており、男性の精子の数は40年で半減しており、中でも日本人は、その減少率が他の先進国に比べ大きいと言われている。

このままいけば、将来的にますます男性不妊の割合は増えていき、自然妊娠できるカップルの割合がは低下の一途をたどっていくだろう。

WHOの基準では自然妊娠するために必要な精子の条件として、
① 精子量:1500万/ml以上
② 運動率:40%以上
であることが望ましいと定義しており、さらに精子の遺伝子異常が22%未満であることが望ましいとされている。

精子の数が少ないこと、運動率が低いことは、自然妊娠率の低下に直結し、遺伝子異常は人工授精や体外受精、顕微授精などの生殖医療補助を行っても受精卵ができず、妊娠できない可能性を高める。(精子の遺伝子異常が22%を超えると受精卵の細胞分裂が起こらない確率が高くなる)

またタイミング療法や人工授精、体外受精にて妊娠を目指す場合、精子の質が低下することによって、卵子の殻を破るための酵素が分泌できず、卵子内に精子が侵入できずに「受精障害」を起こし、妊娠できないこともある。(この場合には顕微授精しか手段がなくなる。)

このような精子の質に何らかの異常がある人の割合は、日本人男性のうち5人に1人とされ、その割合は約20%であり、年齢が若くても問題がある場合があるので注意とされている。

一般的に女性に比べ男性の妊娠力は衰えにくいと言われ、高齢になっても生殖能力はある程度維持されると思っている人が多いが、実は男性でも30歳を境に精子の数や質が大きく低下することがわかっている。

30歳を超えると男性も妊娠力が低下する
日本では男性も女性も初婚の平均年齢が30歳を超え、精子も卵子も質が低下している中、子供を望む社会になっているため、これらの現実を考えると今後ますます自然妊娠の割合が減少していくことが予想される。

不妊症の半数は男性が原因であることをキチンと認識し、男性不妊は男性の性欲とはほとんど関係なく、男性の場合は外見上から異常があるかどうかを確認することができないことを知っておく必要がある。

 

精子の質を低下させる原因

【活性酸素による酸化ストレス】
精子の質の低下には活性酸素の大量発生による酸化ストレスが関係している。

活性酸素が大量に発生する条件は、我々の日常生活に関係しており・・・
① 座りっぱなし
② 動物性脂肪(肉食)の摂り過ぎ
③ 運動不足
④ 寝る前のスマホ
⑤ 喫煙
⑥ 飲酒
など、何気ない日常の行動1つ1つにその原因が隠されている。

 

これらは主に生活環境・仕事環境からくる問題であり、仕事がデスクワーク、自宅に帰れば携帯やパソコン、TVなどを観て1日中座りっぱなしのことが多い場合には、慢性的に生殖器周囲の血流が悪く、それが原因となって活性酸素が大量に発生し、血流停滞により熱がこもるという悪循環が生じる。

海外の調査では、1日5時間座りっぱなしの状態になる人は、そうでない人に比べ30%以上、精子の質が低下すると言われている。

また食事では、動物性の脂肪酸がたくさん含まれている肉食が中心になり、1日の摂取カロリーのうち、肉食の脂肪から摂取するカロリーが10%以上になると精子数が大幅に低下することがわかっている。
それ以外にも炭水化物や糖質の過剰摂取により、内臓脂肪が蓄積して骨盤内血流が悪化することや食後高血糖によって生殖器周囲で糖化が生じ、糖化が原因で炎症が起こって精巣にダメージを受け、精子の産生能力が低下することも要因の1つとなっている。

 

【テストステロンの分泌量低下】
男性ホルモンであるテストステロンの分泌量低下によって精子の産生能力が低下している場合もある。テストステロンは睡眠中に分泌されるため、例えば明るい部屋で寝る、ストレスで眠りが浅いなどにより睡眠不足になると、その分泌量が低下し、それが精子の産生能力の低下につながる。
睡眠時間が6時間未満の場合、7時間以上の人に比べ、精子量が約22%低下することがわかっている。

テストステロンの分泌量が低下する条件には・・・
① ストレス
② 睡眠不足・浅眠・中途覚醒・夢が多い
③ 夜勤があり、睡眠時間が不規則
④ 飲酒
⑤ 脂質過多
などがある。

その他にもカフェインの過剰摂取も精子の質を低下させることがわかっている。

 

 

精子の質を向上させるために必要な対策
精子は74日サイクルで産生され、その後14日間かけて泳げるようにトレーニングし、おおよそ90日間で射精できる状態になる。

したがって精子の質を向上させるためには、生活習慣の改善やサプリメントを最低3か月間は継続する必要がある。(ただし状態によっては2週間程度で大幅に改善することもある)

精子の質を向上させるために・・・

【酸化ストレスを軽減させる】
① 活性酸素を発生させないために1時間に1回(1回につき1~2分)は歩き、血流を促し、血流改善および熱の発散を行うようにすること。
② 食事では魚やナッツ類、大豆類からオメガ3の不飽和脂肪酸を積極的に摂ること。
③ 活性酸素を除去する働きを持つビタミンCを摂ること。 
④ 座りっぱなしにならず、動き回る習慣をつける。
⑤ 運動不足を解消する(余分な脂肪や糖質を消費して体内をクリーニングする)

を行い、とにかく酸化ストレスを軽減させる必要がある。

 

【テストステロンの分泌量を高める】
① 暗い部屋で少しでも眠りの質を改善するように心がける
② 寝る前にスマホをみない
③ ストレスを発散する
④ 規則正しい生活リズムを心がける

 

 

これらを念頭に精子の質を高める7つの条件として、

【精子力を高める7つの条件】

① 運動をする
1日30分程度のウォーキング、座位が1時間になるごとに1~2分立ち上がって歩く
② 禁欲しない(禁欲は2日間くらいでOK)
あまり禁欲しすぎると質の悪い精子が蓄積する可能性が高くなる。
③ 亜鉛の摂取
精子の産生に必要なミネラルを摂取する
④ 体重管理
脂肪過多・糖質過多を予防する
⑤ 質の悪い睡眠を改善する(1日7時間程度は寝る)
テストステロンの産生力を高める
⑥ 長風呂・サウナを避ける
陰部に熱をこもらせないようにする
⑦ ピッタリとしたパンツ(下着)をはかない
陰部に熱がこもって蒸れることで活性酸素が発生しやすくなる。

 

これらを日常的に実践するだけで、精子の質が向上する可能性は非常に高くなり、男性不妊を解消することができるようになる。

また日常生活でカバーできない部分に対しては、積極的に抗酸化作用のある成分、亜鉛などが配合されたミネラル、ビタミン、陰部の血流を改善する健康成分、精子の細胞形成に不可欠である不飽和脂肪酸が含まれたサプリメントを摂取しておくことが大切になってくる。

とにかく現代型不妊症の1つである男性不妊は、我々の何気ない生活習慣が原因になっていることを覚えておかなければならない。

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