雲州先生の
不妊よもやま話

妊娠を目指す人に必要な3つのこと ~Y理論について~

妊娠を目指すご夫婦にとって、「どうすれば妊娠しやすくなるのか」というのは非常に興味がある内容だと思います。
廣田漢方堂では、妊娠する可能性を最大限に高めるために、必要なことを「Y理論」という形に落とし込み、皆さまにお伝えしています。

Y理論

妊娠しやすい状態を作るためのY理論を構成する要素には、

① 運動・食養生による正しい身体づくり
これは男性・女性ともに必要不可欠な日常における養生となります。
世界的に見れば人口は増加の一途をたどっているにもかかわらず、日本では人口が減少に転じ始め、昔に比べて不妊症で悩む人たちが非常に多くなっています。
この原因として、晩婚化が主な原因のように言われていますが、日々の相談業務の中では、35歳未満の比較的若い方からの相談も多く、一概に晩婚化だけが妊娠しにくくなっている条件とはいいがたいと考えています。その中で、当店では精子の質の低下、卵子の質の低下には、我々が知らず知らずのうちに行っている日常生活の中に原因が隠されているのではないかと考えるようになりました。そしてその大きな原因に「運動不足」「糖質中心の生活」があると考えるようになりました。

これらがどのような問題になっているかについては、男性不妊についてをご覧いただくとよいと思います。

妊娠を目指す場合、まずご夫婦で取り組まれる際には、しっかりと運動して全身の血流を良くし、新陳代謝を活性化すると同時に食事にて必要な栄養をしっかりと摂取することが大切になってきます。(具体的な方法に関しては、のちのコラムでご紹介)

② 西洋医学的な治療
なかなか妊娠しない場合、まず訪れるのがクリニックになると思います。そしてクリニックでは、妊娠しない原因を探るべく、基本的な検査(ホルモンバランス・フーナーテスト・卵管造影など)をし、問題がなければホルモン剤などを使って排卵を誘発し、タイミング療法や人工授精、ときには体外受精や顕微授精を行っていきます。

これらの生殖補助医療は、今まで感覚で行っていた子づくりを医師の監視下において「可視化」することで受精するタイミングを逃さず、妊娠する可能性を高めることができます。

この生殖補助医療によって妊娠するカップルは相当数に上りますので、非常に有効な治療法である一方、ホルモン剤の多用による様々な弊害もあり、それらが原因で卵巣が疲弊したり、ホルモンバランスが崩れたりすることもあるので注意が必要です。

③ 東洋医学的な治療
私たちのような漢方薬局には、西洋医学的な治療を十分に受けてきたにもかかわらず、今なお妊娠できない方が相談に来られます。西洋医学的な治療で妊娠できないその裏には必ず妊娠を阻害している原因があります。そのため私たちは、「西洋医学的な治療を受けてきたのになぜ妊娠できなかったのか?」を考えるのですが、そのときに同じ西洋医学の土台で物事を考えても埒が明きません。そこで西洋医学とは違う物差しで人を診る東洋医学的思考に基づき、「妊娠できない理由」を考えていくのです。

たとえばホルモン剤の重大な副作用の1つに「血栓症」というものがあります。これを東洋医学に置き換えると「瘀血」となります。瘀血は不妊症の主要原因の1つとされており、瘀血が体内に形成されることにより卵巣や子宮周囲の血流が悪くなるとホルモンがちゃんと届かずに卵胞の成長が乱れたり、月経が乱れたり、経血の量が減ったり、塊が出たりするようになり、生殖環境が悪化してしまいます。

またホルモン剤による過度な刺激によって卵巣が疲れてしまうことを東洋医学では腎虚と言い、ホルモン剤の乱用で腎虚が促進され、質の良い卵子を育てる環境が破壊されることも少なくありません。

このようなことからホルモン剤は、一方では有効に作用し、妊娠する可能性を高めてくれますが、もう一方では刺激が強すぎたり、身体うまくその作用に反応できないことにより妊娠する可能性を低下させる側面も持っているのです。

東洋医学ではこのような側面から、その人ごとに妊娠できない原因を探り、その原因を1つずつ潰していくことによって、妊娠できる可能性を高める医療となります。

 

私たちは、妊娠する可能性を高めるためには、上図のようにYの文字を構成するそれぞれの線が、バランスよく、そして長く伸ばす必要があると考えています。

多くの方の場合、食養生や運動に気を付けなくても、西洋医学的な治療や東洋医学的な治療を受けなくても妊娠することができますが、中には妊娠する力が何らかの原因で著しく低下し、自然な妊娠が難しい場合もあります。
その場合には、食養生や運動を調えればよいカップル、西洋医学的なフォローを受ければよいカップル、それでもダメで東洋医学的なフォローが必要になってくるカップルと、その中でも様々なタイプに分かれていきます。

当店では、主に何をしてもうまくいかなかったカップルからの相談がメインであるため、このY字の線のうち、どれか1つでも短ければ、その他がどれだけ長くても、その短い線に足を引っ張られて、妊娠から出産できる可能性が相対的に低くなってしまうという考え方に至りました。

妊娠するためには、とにかく土台となるご自身の身体づくりを行って赤ちゃんを育てられる環境を作り、その上で西洋医学や東洋医学のフォローを上手に受けることが重要であり、その中で我々の役割は、東洋医学の叡智を駆使し、「卵の質を可能な限り高める」「子宮内膜環境を徹底的に整える」ことを徹底することで妊娠出産し、赤ちゃんが元気にスクスク育つ環境を作ることなのです。

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