体外受精と顕微授精で
妊娠を目指す場合

体外受精・顕微授精における採卵・胚移植の方法が自分に合っているかを知っておく重要性

体外受精・顕微授精は大きく分けて採卵と胚移植という二つの周期から成り立っています。
また、それぞれの周期の中でも色々な方法がありますが、どの方法がご自分に合っているのかを知らずに治療を進めている方がほとんではないでしょうか。

採卵

採卵とは、成熟した卵を手術によって体外に取り出すことを言いますが、ポイントは採卵に至るまでの、卵巣の刺激方法の違いです。

卵巣刺激とは、ホルモン剤を使って卵を育てることを指します。
ホルモン剤を使用する目的は、確実に卵を育てて採卵できる卵の数を増やすため、また、スケジュール通りに治療を進めるためです。

卵巣刺激の種類は使用するホルモン剤の種類まで入れると非常に多くなりますが、大きく分けると、

  • 完全自然周期法(薬を使わない)
  • 低刺激法(排卵誘発剤を服薬)
  • 中刺激法(排卵誘発剤の服用をベースにホルモン剤の注射も使う)
  • 高刺激法(ホルモン剤の注射をベースに使う)

の4つになります。

刺激が強いほど多くの卵を育てることができますが、同時に強いホルモン刺激は卵巣に負担をかけてしまいます(卵巣に鞭を打って卵を作るように鼓舞するイメージ)。
気を付けなくてはいけないのは、卵巣刺激の回数を重ねて疲れ切った卵巣は、いくらホルモン剤を増やしても反応しなくなる、という点です。

もちろんこれは、元々の卵巣の持つ体力にも左右されます。
比較的年齢の若い場合には高刺激は有効な治療法ですが、既に年齢を重ねている場合は卵巣の体力も落ちていることが多いですし、年齢が若くても卵巣機能に問題がある場合、必ずしも高刺激で良い成績を上げることができるとは限りません。
つまり、治療を始める段階での卵巣の状態を把握して、適した方法を選ぶことがとても重要で、たとえば治療の回数を重ねても結果が出ない場合、高刺激から低刺激へとランクを落とすことで、質の良い卵子がとれ、妊娠につながることもあります。

胚移植

胚移植とは、体外に取り出した卵を受精させて、培養液で育てた受精卵(胚)を子宮内に戻す処置のこといい、これにもいくつか方法があります。

まず、培養液内でどの段階まで育てるか(細胞分裂による分割がどこまで進むか)によって、初期胚移植と胚盤胞移植に分かれます。
また、初期胚や胚盤胞まで育った卵をフレッシュな状態で胚移植する方法(新鮮胚移植)、一旦凍結して胚移植する方法(凍結胚移植)があります。
そして胚移植をするときに何個の受精卵を戻すかという選択肢もあります。
どの方法がベストか、という点については選択が難しく、病院によって方針もまちまちであるのが現状です。
ただ、それぞれの方法にどんなメリットとデメリットがあるのかを知っておくことは、どの方法を選ぶかの判断材料になります。

初期胚と胚盤胞の場合、胚盤胞まで培養液という人工的な環境で育つことのできた卵はその後の成長にも期待が持てます。
ただし培養液で育てた場合、胚盤胞に至らず成長が止まってしまう確率(胚移植キャンセル率)も高くなります。

新鮮胚と凍結胚の場合、新鮮胚移植は卵巣刺激の直後に行うのでホルモンバランスが崩れた状態にあり子宮内環境もベストとは言えませんが、凍結胚移植は凍結・融解という手順を踏む中で胚にダメージを与えることがあります。

1個だけの受精卵を胚移植しても結果が出ない場合、複数個(通常は2個まで)を胚移植することで着床することがあります。ただし多胎妊娠のリスクについては理解しておく必要があります。

治療方法については病院の主導で進められることがほとんどですが、このような知識を身に着けておけば、たとえばなかなか結果が出ない、という局面で「次はこの方法を試したい」と主治医に相談をできる可能性が生まれます。

漢方薬を使ってできること

身体つくり期

この周期は、これから体外受精に取り組もうとされるご夫婦に対して治療がスムーズに行えるようにベースとなる身体作りを行っていく周期となります。

この周期で私たちが行うことは・・・

「よい卵子」が採れる準備を行う

一般的に卵子は、胎児のときに作られ、その数は500万~700万個といわれ、生まれた時には200万個に減少し、出生後に新たに作られることはありません。
その後、成長する中で徐々に減少し、小学校に入学するまでには約50万個になり、中学生になる頃には10~30万個になります。

月経が始まると、毎月1つの卵子が排卵されますが、実はそれ以外にも月に数百個、1日当たり20~30個の卵子が自然に消滅していきます。

さらに卵子の質は、加齢とともに低下していき、それに伴って妊娠する力が衰えていきます。

生まれた時にあった200万個の卵子のうち、初潮から閉経までに排卵される卵子の数はトータルで400~450個と、ほんの一握りにしかすぎません。

毎月の月経では、5~20個ほどの卵子が成長していきますが、排卵するのはその中でも特に成長の速かった卵子1つだけで、その他の卵子はしぼんで消えてしまいます。体外受精では、ホルモン剤を使用し、本来であれば、しぼんで消えていく卵子を成長させることで、採れる卵子の数を確保します。

使用するホルモン剤の種類、ホルモン剤の開始時期によって採れる卵子の数は変わってきますが、本来であれば1つしか成長しない卵子を複数個成長させるのですから、その質を確保するためには、それに見合った栄養・エネルギー・酸素が必要になってきます。

その準備をこの時期に行い、体外受精の方法・過去の治療歴と実績・年齢・生活環境などを踏まえた上で、今何をすべきかを考えていく時期になります。

子宮内のクリーニングを行う

いくら卵子の質を確保しても、実際に受精卵が着床し、胎児が成長する子宮本体の状態、また内膜の状態が悪ければ、赤ちゃんが順調に成長することができず、着床しにくくなったり、着床しても途中で成長が止まってしまう可能性が高くなってしまいます。

不妊症専門クリニックでの検査で、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮内ポリープなどがある場合には、それらの状況が不妊症とどうかかわっているのかを考え、西洋医学・東洋医学に拘らず、その方にとってベストな処置が行えるようにアドバイスをいたします。

また東洋医学的に月経周期・月経量・経血の色・経血の粘度・月経痛・月経前の体調の変化をチェックし、ホルモンバランスや子宮本体の柔軟性、子宮内環境の状態を確認し、子宮内環境を最適な状態になるように整えていきます。

採卵期

この周期は、採卵周期の月経の初日から採卵日当日までをいいます。
不妊症専門クリニックの治療では、ホルモン剤を使用し、人工的に卵胞を成育させ、数個の卵子を採卵していく時期になります。

通常では、1つの卵胞に対して、成長に必要な栄養素・エネルギー・酸素を供給すればよいのですが、数個の卵胞を一気に成長させるため、それまで以上の質の良い栄養素・エネルギー・酸素が必要になります。それら卵胞の成育に必要な条件がそろわないと、卵の質は向上せず、逆に低下してしまう可能性が高いと考えます。

私たちは、この部分に着目し、採卵周期の月経初日から、採卵日までの間、徹底的に栄養補給を行うことで、卵の質が高まるようにしていきます。

採卵の方法には、「ロング法」「ショート法」「アンタゴニスト法」「マイルド法」「自然周期法」など実に様々な種類がありますが、その方法に関しては、不妊症専門クリニックの治療法に則っていきます。

ただし、私たちは、「より質の良い卵を採卵していただく」ということを常に意識してサポートを行っております。そのためお客様の年齢・身体の状態・心の状態・生活環境などをお伺いした上で、客観的な視点・統計学的な視点から採卵の時期や方法をご提案し、一緒に考えていくこともあります。

また過去に体外受精を行い採卵している場合には、過去の実績と照らし合わせ、計画通りに採卵が行えたかどうか、採卵個数、受精個数、受精卵の成長度、受精卵のグレードを確認し、漢方サポートの1つの指標としております。

※注意点※
「卵の質を高める」といっても、実際にはご自身が持っているもの以上に質を高めることはできません。
40歳の女性の卵子の質を20歳の女性の卵子の質のレベルまで引き上げることは現実的ではありません。
私たちにできることは、貴女が持っている卵子の質をできる限り低下させないようにすること、複数個の卵子が成長する中で、栄養不足が生じ、急激に質が低下するのを防止することですので、この点をお間違えないようにお願いいたします。
これはどれだけ高価な化粧品を使っても、40歳の女性のお肌が20歳の女性のお肌には決して戻れないのと同じです。でも40歳のお肌でも、質がよく、ご自身に合った化粧品を使うことで、肌質をしっかりと高めることと一緒だと考えていただければ、わかりやすいと思います。

休憩期

この周期は、採卵終了後から胚移植周期の月経初日前までをいいます。
採卵が終わった日から胚移植周期までの期間は、人によって期間が違ってきます。採卵後に新鮮胚をそのまま胚移植するケースもあれば、受精卵を凍結し、いったん卵巣・子宮を休ませてから最適なタイミングで胚移植を行うケースもあります。
また子宮を休ませる期間も人によっては1か月の場合もあれば、さまざまな都合により半年近くになることもありますので、この休憩周期におけるサポートは、その期間によって異なります。

この期間は、卵の質は一切考慮する必要がないため、徹底的に子宮内膜環境を整えるようにしていきます。
このときには採卵後に生じる卵巣の疲弊を回復させると同時に、子宮本体・子宮内膜の環境を改善するために巡りを高めていきます。

※廣田漢方堂ではできる限り、受精卵はいったん凍結し、この休憩期間を設けて子宮内の掃除をすることをお勧めしておりますが、受精卵が凍結に耐えられないケースなどでは新鮮胚で採卵周期に戻す方もいらっしゃいます。
その場合には、採卵周期の漢方・休憩周期の漢方を同時進行で行っていきます。

胚移植期

この周期は、胚移植をする月経周期の初日から判定日までをいいます。
この周期には、受精卵を戻し、そして着床させ、受精卵をしっかりと成長させるという、妊娠を成立させるために一番重要な期間です。

この周期で私たちが行うことは・・・

柔軟な子宮を作る

子宮はホルモンや自律神経によって、その動きが調節されており、精神的な刺激による影響を大きく受けてしまいます。
特に胚移植を行う際には「不安」「緊張」「焦り」などの負の感情が伴うことが多く、その感情によって血管・子宮本体が堅く収縮してしまいがちになります。
着床するときには子宮が柔軟に動いて、受精卵をこぼさないようにキャッチしますが、このときに子宮が硬いとうまくキャッチできなくなってしまいます。
そのために、緊張を緩和する漢方薬を使用して不安感や緊張感を緩和し、身体がリラックスできる状態を作り、着床しやすい子宮を目指します。

子宮内膜の血液を充血させる

胚移植の周期には、多くの場合、ホルモン剤を使用して子宮内膜を厚くさせます。
しかし、いくら子宮内膜を厚くさせても、内膜内の毛細血管が充血しているかどうかはわかりません。
私たちは、ホルモン補充法で子宮内膜が十分に厚くても妊娠できない状況に対して、「問題は内膜の厚みと、その中に巡る血液の充足度にある」と考えています。
そこで昔から不妊症によく用いられている生薬が高濃度に配合された漢方薬を使用し、毛細血管の血流量を増やしたり、貧血傾向がある場合には、血を作る力を活性化する薬を使って、血液循環量を高めていきます。

胎児に栄養を送るのは「血漿」と呼ばれる体液

35歳を過ぎると徐々に妊娠率が下がり、逆に流産率が高くなるといわれています。
その理由として、よく「卵子の老化」が取り上げられますが、私たちはそれ以外にも、35歳を過ぎると、胎児に栄養を送る「血漿」成分が少なくなるため、それに伴い着床後に送り込める栄養・エネルギー・酸素の量が減少し、胎児の成長が途中でストップしたり、流産したりするのではないかと考えています。

この考えに基づき、35歳以上の女性には、「血漿」成分を補うことのできるサプリメントを用い、胎児に供給できる栄養・エネルギー・酸素の量が少しでも多くなるようにしています。

赤ちゃんの成長に必要な栄養・エネルギー・酸素を送る

赤ちゃんがお腹の中で成長するためには大量の栄養・エネルギー・酸素が必要になってきます。これらが不足すると着床できなかったり、着床したとしても成長が鈍くなったりすることがあるため、漢方薬を使ってこれらを補っていきます。

妊娠陽性反応または陰性反応が出た場合

タイミング療法・人工授精・体外受精・顕微授精など、生殖医療の補助の如何にかかわらず、処置を行えば、必ず陽性か陰性かの反応が出ます。

妊娠判定で陽性反応が出た場合

漢方薬でフォローしている場合において、陽性反応が出た場合には服用している漢方薬を急に中止するのではなく、少なくとも胎嚢確認および心拍確認が出きるまで継続するようにしてください。できれば、安定期に入る12週目までは安胎薬として漢方を続けることをお勧めいたします。

妊娠時に漢方薬を使うことに抵抗があるかもしれませんが、漢方薬は5000年の歴史があり、妊娠した際に使用可能な生薬、使用してはいけない生薬はきちんと分類されているため、安心してお使いください。

また妊娠によって酷いつわりが出ているとき、風邪をひいてしまったときなどは西洋薬が使えないことが多くあります。漢方はその場合にも効果的で、症状を安定させたり、軽減させたりすることが可能です。

妊娠判定で陰性反応が出た場合

漢方薬でフォローしているにもかかわらず、陰性反応が出た場合には、なぜ陰性が出たのかをきちんと検証し、どうすれば陽性反応が出るのかを考えていきます。
陰性が出てしまった周期の基礎体温や二相性の有無、月経の状態などを確認し、まだ残っている問題点を把握し、それらを改善していくことで、妊娠に少しでも近づけるようにします。
ただし、基礎体温や月経周期の二相性の状態、月経の状態を中心に、全体的な体調を踏まえて、いい状態を保てている場合には、無理に漢方を変えたりせず、そのまま継続して妊娠に備えていきます。

また生殖医療を行っている場合には、使用しているホルモン剤、処置の方法などから、卵巣や子宮が疲弊し、それが逆に妊娠力を低下させていないかどうかを、クリニックから提示された方法・スケジュールと実際の反応(スケジュールが伸びなかったか、途中で薬が追加にならなかったか、卵巣や子宮はしっかり反応できていたかなど)を確認し、処置の方法を変更すべきかどうか、休憩すべきかどうかなどを検討していきます。

陰性反応が出た場合には、なぜ陰性になったのかをきちんと考え、次につなげていき、妊娠力を最大限に高めるための方法を模索していきます。

体外受精・顕微授精の代表的な妊娠例

①体外受精(40歳・女性)

不妊治療を開始とともに漢方を使用し、治療開始後半年で双子を妊娠することができたお客様です。

40歳で不妊治療を開始。AMHが0.49と非常に低く、年齢的な問題もあり、すぐに体外受精となりました。しかし治療に関する知識がほとんどなく、毎日ネットを検索して情報を収集されていたそうです。
そんな中、ネットで検索しているうちに廣田漢方堂の漢方が不妊にも効果があるということを知り、相談に訪れたとのことでした。

病院での治療は、低刺激法で合計の採卵回数は3回。1回目はグレードが低く凍結できませんでしたが、漢方を工夫したことにより、2回目・3回目の採卵で合計3つの初期胚を凍結することができました。初めての胚移植では、初期胚を胚移植したものの、着床反応は出ませんでした。2回目の胚移植では、初期胚を2つ戻し、それが見事に両方とも着床し、双子を妊娠することができました。
お客様は思いがけない結果に非常に驚いた様子でしたが、妊娠中も漢方を使用続けることで大きな問題も起こらず、無事に双子を出産されました。

体外受精での妊娠を成功させるための考察

このお客様の例では、不妊治療を開始した年齢が40歳と高齢で、AMHが0.49と非常に低かったため、採卵におけるホルモン剤の刺激に対して、卵巣の反応効率を高め、少しでも質の良い卵胞を採卵できるようにすること、および夫の精子の質も併せて高めることで受精卵の状態を調えておくことが重要であると考えました。

そこで体外受精の経過に伴い、廣田漢方堂独自の理論に基づき、身体つくり期・採卵期・休憩期・胚移植期という4つの周期に分類し、身体つくり期・休憩期ではベースとなる血流を調えることに専念し、採卵期には卵の質を高める漢方薬や中草薬を用い、胚移植期には子宮内膜環境を調え、着床を促すものを用いました。

初回の採卵では、クリニックの刺激法とこちらの漢方とをうまくマッチングさせることができず凍結には至りませんでしたが、2回目からは1回目の反省を踏まえ、卵胞の成長を促す漢方薬に自然由来のビタミン・ミネラル製剤を加えました。旦那様には活性酸素による酸化ストレスによって精子のDNAや細胞膜が傷むことを防ぐ目的で抗酸化作用のある栄養素を用いました。その結果、2回の採卵で合計3つの初期胚を凍結することができました。

また、初回の胚移植時には初期胚を1つ戻しましたが、このときには子宮内膜の血流を充実させ、さらに受精卵の成長に必要なタンパク質・ビタミン・ミネラルを補給しつつ、子宮を温める漢方を用いたが着床をフォローすることができませんでした。そのため2回目の胚移植では、血流を充実させながら、前回と同様に栄養を補給し、着床できなかった理由が子宮筋の柔軟性にあるのではないかと考え、それを改善する漢方に変方して胚移植に臨んでいただきました。その結果、うまく着床し、妊娠陽性反応が出てくれました。

年齢的なこともあり、早期に結果を出すことを迫られたが、幸いクリニックでの刺激も低刺激で、じっくりと卵胞を育てていくことができる方法だったため、漢方でも必要以上に栄養素のことや補腎を考える必要がなく、あくまでも1つの卵にスポットを当てながら質を確保することに専念することができました。
胚移植に関しても1回目の胚移植では着床反応が出ず、普通なら受精卵の問題だろうと片づけられてしまうこともあるかと思いますが、残りの卵の数が少ないこと、妊娠する可能性を最大限に高めるためにはどうすればよいかを徹底的に考え、子宮筋の柔軟性という部分に着眼し、それを改善する漢方を用いました。
それが功を奏したのか、2回目で見事に妊娠していただくことができた例でした。

②顕微授精(33歳・女性)

結婚後、すぐに妊娠を希望したものの旦那様の精子の質が悪く、漢方を使いながら顕微授精で妊娠することができたお客様です。

結婚後、すぐに子供を希望し、タイミングを取っていましたが妊娠することができず、病院で検査をしたところ、旦那様の精子の状態が非常に悪いことが判明。精液量が検査のたびに約0.1mlしか採取できず、精子の数・運動率ともに自然妊娠を望める状態ではありませんでした。

この状態を改善するために、亜鉛サプリやビタミン・ミネラルサプリ、ミトコンドリア活性サプリ、漢方の精力剤など、いろいろなものを試したが一向に改善することはなく、鍼灸やヨガなども取り入れましたが、それでも妊娠することができませんでした。

そこで残された手段は顕微授精しかないと考え、不妊症専門クリニックに通い始めると同時に漢方薬で少しでも妊娠する可能性を高めるため、廣田漢方堂にご相談にいらっしゃいました。

顕微授精を行うにあたって、なるべく少ない回数で妊娠していただくことを目的に、奥様には血流を改善する漢方と卵の状態をよくする漢方を使用し、旦那様にはとにかく精子の質がよくなるように抗酸化作用が強力なサプリを使用し、状態の改善を図りました。

顕微授精は漢方を開始してから2か月後に行い、アンタゴニスト法にて採卵。10個の卵子が採取でき、そのうち7個が受精しました。そのうちの2つはそれぞれG2・G3の初期胚、4つはG2(3個)、G3(1個)の胚盤胞で凍結することができました。このときの精子の状態は、相変わらず精液量は0.1mlと少なかったものの、濃度は97.5×10⁶/ml、運動率47.7%とこれまでの中で一番成績が良いものでした。

その後、漢方では子宮の状態を調えるため、血液の循環を良くする者を中心に用い、胚移植に備えました。そして胚移植期に入るタイミングで、子宮を温める作用のある補腎薬と血流をよくする活血薬を用い、Seet法にて胚盤胞1つを胚移植。1回目の胚移植で無事に妊娠することができました。その後も順調に経過し、無事に元気な赤ちゃんを出産されました。

妊娠を成功させるための考察

奥様は、基礎体温は比較的きれいな二相性でしたが、月経前の胸の張り、浮腫み、イライラ、頭痛、肌荒れなどが酷く、ホルモンおよび自律神経のバランスがうまく調節できていないことから、自律神経のバランスを整え、ホルモンの変化に身体がうまく対応できるよう漢方薬を用いました。その漢方をベースに継続することで月経前の不快症状は徐々に軽減させることができました。

旦那様は、糖尿病の既往歴があり、男性不妊の原因となる酸化・糖化・炎症という3つのトライアングルが形成され、それによって精子量・運動率・精液量が基準値を大きく下回っていると考えました。

このような男性不妊の場合、いくら顕微授精を行って受精卵を作っても、精子のDNAや細胞膜が酸化・糖化・炎症の影響によってダメージを受けていると染色体異常を起こしやすくなったり、受精卵の分割が途中で止まったり、着床しても妊娠を継続できない状態になることが予想されるため、糖尿病があったとしても、その影響を最小限にするために漢方薬やサプリメントを使用しておかなければなりません。

そのために抗酸化作用が強力なサプリを用いると同時に少しでも精子の質が向上するようにビタミンやミネラルがしっかりと配合された栄養素を使用することにしました。

これらの商品を2か月使用し、体質改善を行ったうえで顕微授精に臨んでいただき、受精卵6個でまずまずの質のものを得ることができました。その後は胚移植を目指し、旦那様のサプリはいったん休憩し、着床の可能性を高めるために子宮環境を整える活血剤を3か月使用し、胚移植周期を迎えました。

胚移植周期の月経の初日からは、子宮を温め、血流を良くし、着床した後の受精卵の成長に必要な栄養素をしっかりと含んだものを複数使用し、判定日を待ったところ、無事に妊娠していただくことができました。その後の経過も順調で元気な赤ちゃんを出産された。

男性の精子の質の低下は、泌尿器科検査による器質的な異常がない限り、そのほとんどが生活習慣からくる酸化・糖化・炎症によるものであり、その影響をいかに軽減させることができるかが大きなポイントになってきます。
今回はその中でも糖尿病があり糖化レベルが高いことが明らかであり、そのために炎症や酸化が進行していると考え、それらを強力に改善する商品を用いるとともに顕微授精を行うことで良好な結果を得ることができました。