男性不妊について

精子の産生量、運動量を低下させ、奇形率を上昇させてしまう理由

近年、男性不妊も全体の不妊症の約半数を占めるようになりました。男性不妊の7割以上は、原因が見当たらないけれども精子の数が少なかったり、精子の運動性能が悪かったりといったことが原因となっています。
その多くに「糖化」「酸化ストレス」「炎症」の3つの因子が関与しているといわれています。

これは先進国で特に顕著であり、男性が本来持つ精子の生成システムと現代社会の構造とのミスマッチによって起こっている問題であると考えられています。

  • ①喫煙や飲酒による活性酸素の大量発生(酸化ストレス)
  • ②身体を動かさなくてもありとあらゆるものを手に入れることができる社会システムによる性機能の減退
  • ③人間が本来持つ消化機能やリズムを無視した炭水化物や精製した糖質中心の食事および不規則な食事時間によって、体内に余分な汚れを蓄積させ、陰嚢における精子の生成を阻害している。(糖化および炎症)
  • ④社会構造からくる現代社会特有のストレス
  • ⑤精子の質を高めるために、具体的にどのような生活を心がければよいのかがわからず、取り組むための意欲がわかないという現実(妊娠しないこと、義務的な性交渉や射精に対してのプレッシャー)
  • ⑥時間を潰すアイテムが昔に比べて多様化していることによって、性行為に楽しみを感じたり、興味を持ったりすることが少なくなっている

これらが相互的に影響を及ぼし、あなた自身の精子の質が低下していると考えられます。
身体を動かさないこと、健康的とは言い難い食事を摂り続ける、ストレスをため込むことによって、ホルモンバランス・自律神経・新陳代謝・血液循環・体液循環などあなたの身体を構成するありとあらゆる機能・構造が機能不全を起こし、全体的な巡りは悪化してしまいます。
特に男性の場合は、日常の生活習慣が人間が本来持つ機能や構造とミスマッチしていることにより、体内で糖化・活性酸素・慢性炎症という3つの状況が起こり、これらが複合的に生殖機能に障害をもたらせる結果、精子の質が著しく低下していると考えられています。

また本来、子供は夫婦間での愛のある性交渉の結果できるものですが、排卵のタイミングでの義務的な性交渉や人工授精・体外受精での処置の時間に合わせた強制的な射精により、脳内の性ホルモンの分泌量が増えず、その結果、十分な精子が出なかったり、最後のパワーが不足することで運動率が低下するという現象が起こっていると考えられます。

これらが原因となり、男性の生殖機能が低下し、年齢に関係なく精子の質が低くなり、自然妊娠できない状態に陥ったり、体外受精ができず顕微授精に頼らざるを得ない状況となるのです。

生殖機能があるにもかかわらず、男性不妊に陥っている理由は、生活環境や治療が、あなたの身体の中の機能・構造とミスマッチを起こしているからなのです。

私たちは、これらを解決するために、5000年の歴史を持つ東洋医学の知恵と叡智を利用し、あなたの中にある妊娠できない根本原因を探り、そしてそれらを解決し、妊娠できる身体づくりを行っています。

男性不妊の原因となる、酸化・糖化・炎症の基礎知識

酸化

筋肉などのエネルギー源は細胞質やミトコンドリアで合成されるATPです。身体の2大エネルギーは酸素と脂質であると言われていますが、酸素と脂質はこのATPを作るために使われています。
そして酸素がないと糖質から2個のATPしか作れないのに、酸素を介して脂質を利用すると36個のATPが産生できます。
これは非常に便利ですが、その反面、酸素は酸化を起こします。
その中でも活性酸素は、酸素による酸化よりもかなり危険であり、身体を構成するタンパク質や脂質、DNAを容赦なく傷つけてしまいます。

活性酸素は変幻自在であり、ドミノ倒しのように電子を奪いながら変化します。酸素から初めに生じるのは、スーパーオキシド。次に電子を奪うと過酸化水素になり、もう一度電子を奪うとヒドロキシルラジカルとなります。
活性酸素は1種類ではないため総じて「活性酸素種(ROS)」と呼ばれます。

活性酸素はミトコンドリア内で大量に発生します。ミトコンドリアは酸素を使ってエネルギーを産生する器官ですが、電子伝達系で活性酸素が生じ、それを自動で処理する仕組みを持っています。

身体中のありとあらゆる細胞にミトコンドリアがあり、そこから活性酸素が生じます。そのため細胞膜やDNA、酵素は活性酸素の格好の餌食となります。細胞膜は脂質からなる二重膜構造であり、ホルモンなどをキャッチするアンテナに相当する受容体を備えます。
細胞膜を作る脂質が酸化されると受容体の性能が落ち、ホルモンなどの効き目もダウンして、性欲の減退が起こってしまうのです。

また代謝を担う酵素はタンパク質が原料となるが、このタンパク質が酸化されると酵素の活性が下がり、代謝全般が滞ります。
さらにDNAが酸化されると正しく遺伝情報が伝わらなくなり、正常な精子が減少する要因となります。

細胞には酸化されて不良品と化したパーツを処分して再生するシステムを備えていますが、酸化ストレスが高すぎるとパーツを再生する材料が不足し、メンテナンスが追い付かない劣悪な細胞になります。
これらが増えると組織や臓器が麻痺に陥り、精子の生成にダメージを与えます。

糖化

糖化は食品中の糖質などとアミノ酸が加熱調理によってメイラノジンに変化するメイラード反応と似ていると言われ、血液中の糖質がタンパク質と結合しAGE(終末糖化産物)が形成されることによって起こります。

活性酸素による酸化が24時間いつでも起こるのに対し、糖とタンパク質が結合する糖化は、身体の中に余分な血糖(グルコース)が存在しなければ生じません。
同じものを食べていても、糖化のレベルは人によって大きく異なります。それは人によって同じものを食べていても血糖値が体質によって違ってくるからです。
通常、食後1時間から1時間半が血糖値のピークとなりますが、正常範囲内は140mg/dl未満と言われており、この数値を超えると糖化が急速に起こってくると言われています。
ちなみに通常の血液検査では空腹時血糖を測定するので、全く参考になりません。

食後に余って行き場のないグルコースが存在した場合、体内にてメイラード反応が起こり、AGEが生成されます。
このAGEはたとえば肌や髪を構成するコラーゲンやエラスチンに直接結合します。
これらのタンパク質は通常、お互いにつながって「架橋」という構造を作り、弾力性や柔軟性を保っています。
ところがここにAGEが結合すると、コラーゲンが変性し、劣化して脆くなってしまうのです。これが精巣における精子の生成を邪魔したり、精子の質を低下させたりする要因となります。

それ以外にもAGEが直接体内のたんぱく質に結合すると、本来のタンパク質の生体機能が低下します。
身体の細胞表面にはAGEの受け皿となる受容体があり、その1つをRAGEといいます。
このRAGEにAGEが結合すると、細胞内の情報伝達に変化が起こり、炎症のシグナルが活発化し、精巣内で炎症を生じ、その炎症のために精子の生成がうまくできなくなってしまう。それが精子の老化につながっています。

また糖化によって生成されたAGEは、直接的な精子の質の低下を引き起こすのみならず、血管壁にAGEにくっつき炎症を引き起こすことで動脈硬化を促進し、全身の血流を悪化させてしまいます。
精巣では常に精子が生成されているため、新鮮な血液が大量に必要となりますが、AGEや炎症によって血流が悪化してしまうと精子の質が慢性的に悪化して状態が続いてしまいます。

炎症

炎症は急性炎症と慢性炎症、加齢炎症に分類されますが、男性不妊で問題になるのは、慢性炎症と加齢炎症です。

慢性炎症

慢性炎症には2つのタイプがあり、1つが病原体を排除できずに炎症が続く場合。
例えばB型肝炎、C型肝炎など。これらはウイルスがずっと肝臓の中に居座り続けます。ウイルスに対する防御反応は起きているのに、撃退できない状態です。
また歯周病は病原菌のエサとなる食べカスなどが歯周ポケットに残り続けることで細菌が常駐し、慢性炎症を引き起こします。

もう1つが慢性関節リウマチや潰瘍性大腸炎、クローン病などを代表とする病原体とは関係のない炎症です。
これらは基本的に自己免疫疾患であり、ウイルスなどの敵がいないにもかかわらず、勝手に免疫システムが暴走し、炎症を促進させるサイトカインが多く集まってきて、健全な細胞を傷つけて炎症を作り出してしまいます。

また慢性炎症は、糖化によって傷つけられた細胞で起こったり、脂肪をたくさん貯えた脂肪細胞で生じやすくなります。
これは炎症を抑制するための様々な物質の活性が糖化や肥満による血流の悪化によって低下し、そのために炎症反応の暴走が生じて起こる。
そして炎症性物質が精巣を攻撃することにより、精子の生成を阻害し、結果、精子の質を著しく低下させるのです。

加齢炎症

細胞が老化することで起こる炎症と言われており、細胞が老化するとサイトカインを多く分泌するようになり、慢性炎症と同じように免疫システムが暴走し始めてしまいます。
一つの細胞が老化していくと、ずっと同じサイクルで同じ刺激を受けてきた周りの細胞も、一斉に老化してしまいます。
そして炎症が広がり、精子を作る機能が傷害され、精子の質が低下していきます。

酸化・糖化・炎症による精子の質を低下させる生活習慣とは…

酸化は身体の中で常時起こっています。
酸化を促す原因はストレス、紫外線、大気汚染、たばこ、過度の運動など。
一方、糖化は血中グルコースが上がらないと反応が起こりません。食後高血糖の状態でインスリンの分泌が追い付きません。
この条件がそろうことで反応が起こります。ただし糖化の反応が起こるときに活性酸素が発生することがわかっています。したがって糖化により酸化が促されます。

ストレスがあるときは、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌されます。
このホルモンは血糖値を上げる働きをするため、その状態で甘いものなどを食べると、より糖化が起こりやすくなります。
イライラしている状態は、身体が酸化されている状況に置かれ、さらにそこで甘いものを食べると糖化が酸化を呼び、酸化が糖化を促すという悪循環が生じます。
そしてこれらの反応はすでに炎症反応と言ってよいものです。
たとえばリーキーガットやフードアレルギーで小腸上皮に穴が開き、この穴に毒素などが入り込むと炎症が起こり、活性酸素が大量に発生します。

それとは逆に活性酸素が炎症反応を引き起こすこともありますし、糖化によって発生したAGEが免疫システムによる炎症反応を呼ぶこともあります。

これらの反応は最終的に体内の細胞の働きを阻害し、その機能を低下させてしまいます。
また「もらい泣き現象」といって、一つの細胞が炎症を起こすと、隣の細胞がつられて炎症を起こすことがあります。

酸化・糖化・炎症には、このような関係性があり、何気なく過ごしている日常生活によって精巣の機能低下を助長しています。
精液検査にて精子の質が悪い場合には、この生活習慣を見直すことから始める必要があります。

酸化・糖化・炎症状態が続くことによって、さまざまな老化物質が体内で産生され、結果的に酸化力が抗酸化力を上回ってしまうと、精子の頭部に格納されているDNAを傷つけたり、体部や尾部の細胞膜の脂質を酸化させ、その質を著しく低下させてしまいます。
精子には抗酸化酵素が少ないこと、細胞膜の脂質は酸化・炎症・糖化しやすい性質があることから、容易にその質が低下してしまいます。
精子は大量に生成される関係上、それらの影響をモロに受けやすい細胞です。

これらの複合的な要因により、遺伝子が傷つけられるとその損傷率が高くなり、結果として受精率の低下、流産率の上昇を招きます。また細胞膜脂質の酸化によって、細胞膜が硬くなり、運動性能が悪化してしまいます。

男性力を高めるために必要なこと(運動・食事・生活)

男性力を高める一番の近道は、毎日食べるものを気を付け、タンパク質・ビタミン・ミネラルが豊富に含まれた魚介類・緑黄色野菜・海藻類を中心に食べ、炭水化物を自分の1日の運動量に見合った量にすることです。それにより糖化を抑制することができ、そこから生じる炎症と酸化にブレーキをかけることができます。
また健康のために行う運動は、激しくなればなるほど大量の活性酸素を生じさせてしまうため、ウォーキングなど軽めの運動がおすすめです。
なるべくストレスをため込まず、デスクワークであれば、座りっぱなしは下半身の血流を60%も低下させてしまうため、1時間に1回は立ち上がって足を動かしたりして、なるべく血流が低下しないように予防する必要があります。

漢方サプリでできること

精子の質は酸化・糖化・炎症の3つの要因によって引き起こされていることから、それらの影響を改善するための身体の機能を活性化することによって、精子の質を向上させることが可能になります。
そのために必要になってくるのは、抗酸化作用のあるビタミン類、炎症を抑える作用のある不飽和脂肪酸、血流を活性化する生薬成分になります。

たとえば精子の質が低下するのを活性酸素が原因として、それを改善する抗酸化作用のあるサプリを摂取したとしても、糖化や炎症という他の原因はそのままになってしまいます。そうするといくら抗酸化作用のあるサプリを摂取してもその効果をしっかりと発揮することができず、結果として精子の質が改善しにくくなってしまいます。

漢方サプリでは、精子の質を低下させているすべての要因に対処することでこれまで以上に精子の質を改善することが期待できるようになります。

男性の特徴(薬を飲みたがらない、コンプライアンスが悪い、精子の質を高める意識が弱い)

男性の場合は、女性と違って真面目にコツコツとサプリメントを飲むのが苦手です。
できたらサッと飲めるものを求められることが多く、1日何回にも分けてしっかりと飲むようなものは毎日忙しい男性には向いていません。
そのような男性の特徴を考えると1日2回で複数の効能を持つ成分を1パックにし、いつでもどこでも持ち運びができるようにし、ちょっとしたときにサッと飲めるようにすることもとても大切になってきます。

廣田漢方堂ではこのような男性の特徴に基づき、1日2回、食後に関係なくサッとお飲みいただけるように複数の成分をそれぞれが最大限の働きをしてくれるようにしながら1パックにまとめ、無理なく継続できるように工夫をしています。

この漢方サプリをお飲みいだたくことで、酸化・糖化・炎症を抑制すると精子の質のみならず、普段の体調がよくなることを実感できると思います。そして何より3か月継続していただくことで精子の質が改善するようになってくれます。

精力剤は必要なのかどうか?

漢方薬局を経営しているため、男性不妊でお悩みの方から精力剤を求められることが多いのですが、精力剤はもともと精力つまり勃起しにくい、女性をみても興奮しにくいといった方に使うことが多く、精子の質が悪いという方に使うことはとても少ないです。
現代の男性不妊は生活習慣と男性の性機能とのミスマッチによって起こっていることが大半であるため、そのような精力剤を用いても効果がないばかりか、ときにはそれらが別の方向に効いて副作用を生じ、のぼせやほてり、気分の悪さなどが起こることもあります。

そのため当店では、男性不妊にてインポテンツなど、性交渉が難しい状態でない場合には、精力剤は必要ないと考えております。